業績大幅下方修正のベースフード、株価は一転上昇に!

 完全栄養食のパンである「BASE FOOD」を製造・販売しているベースフード。2024年8月に商品値上げを実施し、8月単月では黒字化を達成。しかしながら、前年同期と比べると、自社EC、卸売、他社ECで前年割れの売上高。唯一、海外だけ伸びているものの、規模が小さい。ポジティブニュースとしては、農林水産省「中小企業イノベーション創出推進事業」採択により、補助18.7億円を得ることができた。今後の業績と株価の行方は?

売上高前年割れのベースフード、値上げで売上高はそれほど伸びず?(2024年8月11日投稿)

成長率は50%超も収益性が課題のベースフード、黒字化が大きな課題!(2024年4月20日投稿)

■基本情報(2024年10月18日時点)

  • 株価:361円(10年来高値:824円)
  • 時価総額:194億円
  • 予想PER:-
  • PBR:48.39倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:10.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:14,200人(2024年2月29日時点)
  • 事業価値:190億円

■ベースフードの業績は?

 ベースフードの2025年2月期の第二四半期の売上高は75.8億円(前年比△6.5%減)、営業利益△4.8億円(前年同期は△1.3億円)と減収赤字幅拡大となった。ベースフードの売上総利益率は+53.3%(前年同期は+50.5%)と値上げの影響で改善している。

 ベースフードの売上総利益は前年の40.9億円→40.4億円と△0.5億円の減少、販管費は前年の42.2億円→45.2億円と+3.0億円の増加となり、営業利益は3.5億円の悪化となった。

■ベースフードの事業状況は?

 ベースフードの四半期別の売上推移をみると、商品自主回収での落ち込みから売上高は回復基調となっている。自社ECの定期注文者数は22.4万人、月間平均購買単価は約5,400円。ベースフードの広告宣伝費・販促費は年間で約36億円くらい使用しており、売上高の25%くらいを占める。このプロモーションを止めてしまうと、定期注文者数は大きく減少するだろう。

 最近は、ミツカングループのZEMBなど類似の完全栄養食品が多く普及してきた。他の大手食品企業もこの領域に参入しており、今後は価格低下競争が発生するのではないだろうか。ベースフードは自社工場を持っておらず、そこで競争力を出せるか課題が残る。

■ベースフードの財務状況は?

 ベースフードの2024年8月末時点の財務諸表をみると、現預金は18億円、在庫1.7億円、有形固定資産1.9億円となっている。負債をみると、有利子負債は14億円、未払金9.5億円、契約負債(前受金)3.2億円となっている。どこかで業績が大きく向上しない限り、増資が必要な財務状況に見える。

 赤字が続いており、利益剰余金は△28億円のマイナスであり、借入金にも財務制限条項など付与されているのではないだろうか。いつ通期での黒字化を達成できるか不明であり、普通に考えると増資をして、その資金で事業投資をするのが妥当だ。

■ベースフードの株価は?

 ベースフードの時価総額は約190億円。2024年10月15日に決算発表後、ベースフードの株価は1.5倍以上に上昇している。メルコホールディングスの牧社長が10月16日、18日合わせて567万株(全体の10.5%)を購入していることが大きい。保有目的は「主要株主として長期安定保有します」となっている。

 しかしながら、立花証券から株を借りる信用取引で購入しており、表面的には短期取引にも見える。時価総額で約19億円ほど購入しており、その影響で株価は大きく上昇している。短期的にはマネーゲームになりそうだ。

以 上

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