製薬会社や医療機器メーカー向けのマーケティング支援やオンライン診療の「kakari」などを展開しているメドピア。2021年5月13日に公表した決算は売上高、営業利益ともに前年比大幅増であるものの、翌営業日は下落となった。メドピアの業績は絶好調であるものの、東証マザーズ中心にグロース銘柄(ハイテク株)の株価調整がつづいており、メドピアの株価はどうなるのか?
製薬企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要拡大、メドピアの業績好調つづく!(2021年2月20日投稿)
■基本情報(2021年5月14日時点)
- 株価:4,985円(10年来高値:8,850円)
- 時価総額:1,074億円
- 予想PER:100.4倍
- PBR:17.43倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:78.8%
- 会計基準:日本基準
■メドピアの業績は?
メドピアの2021年9月期の第二四半期の売上高は38億円(前年同期比+64.6%増)、営業利益11.1億円(前年同期比+2.3倍)の増収増益となった。メドピアの売上総利益率は+67.5%(前年同期は+66.0%)、営業利益率は+29.2%(前年同期は+21.0%)と改善となった。
メドピアの業績拡大の背景は新型コロナウイルスの影響によるヘルスケア(医師、病院、製薬会社、医療機器メーカーなど)の非対面での情報収集やマーケティングニーズの高まりだ。メドピアは医師向けのプラットフォームとしてWebサイト「MedPeer」を展開しており、それを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が進んだことによりメドピアのビジネスが大きく拡大した。たとえば、薬剤評価掲示板やWeb講演会など使用率が前年比+1.4倍に増加した。
メドピアにかぎらず、競合他社のエムスリー、ケアネット、メドレーなどのヘルスケアIT企業の業績は絶好調だ。またブイキューブやJストリームなどの動画サービス企業も製薬会社へのサービスを拡大させている。
医薬医療向けに強い動画配信サービスのJストリーム、セミナーからライブ配信まで!(2020年12月20日投稿)
製薬企業の医薬情報提供活動をサポートするケアネット、コロナ禍で業績好調!(2021年1月3日投稿)
■メドピアの中期成長の目標は?
メドピアは2023年9月期に売上高150億円を目指している。仮に営業利益率+30%で計算すると、営業利益45億円と試算できる。今期の業績予想では営業利益16.1億円を想定しており、これから2年間で売上高2倍、営業利益3倍となる計画だ。
ただし、心配になるのはこの1年間は新型コロナウイルスの影響によるDX導入(主にWeb会議などのデジタルルール等)の加速がメドピアのビジネスを後押ししたものの、今後も順調にニーズを拡大できるかは見えない点は少なくない。かりにコロナワクチンの普及により新型コロナウイルスを抑え込めた場合、この1年と同じようにDX化の流れは進んでいくのだろうか。いまはコロナ禍でしかたなくDXを活用しているものの、コロナ禍が終了したときに引き続きニーズがあるか見極めが必要だ。
■メドピアの株価の行方は?
メドピアの時価総額は約1,100億円(売上高75億円、営業利益16億円)。同業他社のエムスリーの時価総額は約4.8兆円で、売上高は1,700億円、営業利益580億円。エムスリーは規模が大きく異なるので、あまり比較はできない。ケアネットの時価総額は約570億円で売上高77億円、営業利益22億円とメドピアと規模感に大きな違いはない。
メドピアとケアネットを比較したときに、ケアネットは予想PER40倍を割っており大幅な割安感はある。ここ最近、メドピアの株価が大きく調整している背景には同業他社にくらべて割高感があるのかもしれない。株価指標的にも予想PERは100倍を超えており、米国を震源としたグロース銘柄の調整が起こっており、メドピアも巻き込まれた形だ。チャート的には4,500円のラインを割ると、ほぼ下落トレンド入りとなる。様子見が無難かもしれない。
メドピアの業績が好調なのは事実であるものの、株式市場や同業他社の状況が大きく変化し、メドピアの株価に割高感がでたことが株価下落の背景と思われる。そうなると、割高感が消えるまでは下落がつづく可能性が高い。
以 上