「塾ナビ」「みんなの学校情報」など教育領域メディア展開のイトクロ!

 「塾ナビ」「みんなの学校情報」「家庭教師比較ネット」などの教育関連の情報ポータルサイトを展開しているイトクロ。情報サイトをプラットフォームに塾や学校などへの送客ビジネスを中心に行っている。資料請求による成果報酬とわかりやすいビジネスモデルで稼ぐ事業モデル。イトクロの収益性は悪くないものの、株価指標的には割安に放置されている。イトクロの株価と業績の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年6月11日時点)

  • 株価:1,113円(10年来高値:3,825円)
  • 時価総額:252億円
  • 予想PER:23.8倍
  • PBR:2.72倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:91.3%
  • 会計基準:日本基準

■イトクロの業績は?

 イトクロの2021年10月期の第二四半期の売上高は23.8億円(前年同期比+18.1%増)、営業利益9.6億円(前年同期比+60.0%増)の増収増益となった。イトクロの売上総利益率は+89.3%、営業利益率は+40.5%と高い。前年は新型コロナウイルスの影響により、「塾ナビ」をはじめとした送客ビジネス全般が大きく落ち込んだ。その反動で、今期は前期にくらべて業績は回復傾向となっている。

 イトクロの株価が落ち込んでいる要因としては、売上高の停滞が大きな要因だ。イトクロの収益性は株価的に評価されてよいものの、成長性は停滞気味。売上高・営業利益ともに去年の新型コロナウイルスの影響を除くと、横ばいが続いている。その結果として、2018年12月に上場来高値3,825円(時価総額:約800億円)を付けたものの、株価は3分の1以下の1,100円台まで下落している。

■イトクロの事業内容は?

 イトクロは日本最大級の学習塾予備校情報ポータルサイトの「塾ナビ」、学校情報ポータルサイトの「みんなの学校情報」、家庭教師検索サイト「家庭教師比較ネット」、習い事情報検索・予約サイト「コドモブースター」などを展開している。

 ビジネスモデルとしては資料請求をキーとした成果報酬モデル。いわゆる、顧客企業・学校への送客ビジネスだ。もうひとつは、ポータルサイト内のグーグルアドセンスなどによる広告収入。送客ビジネスを展開している企業は多く、不動産や求人関連のじげん、旅行関連の送客ビジネス「トラベルコ」のオープンドア、「引越し侍」などのエイチーム、婚活イベントのリンクバルなどがある。

 送客ビジネスで共通しているのは、成長期が終わってしまうと収益性は高いものの、株価は下落・停滞してしまっている点だ。イトクロと同じような株価チャートを描いている。送客ビジネスは顧客への直接サービスではなく、顧客企業へのお客さんの紹介ビジネス。その市場規模の成長がないと、送客ビジネスをおこなっている上場企業の売上規模の成長も止まってしまう。

求人や不動産など情報サイト一括検索じげん(3679)、売上高の停滞からの脱却は?(2020年6月6日投稿)

イベントECサイト運営のリンクバル、コロナ後の事業回復に期待!(2021年1月24日投稿)

スマホゲーム、情報サイト、自転車ネット通販のエイチーム(3662)、株価は下落トレンドつづく!(2021年9月12日投稿)

■イトクロの株価の行方は?

 イトクロの時価総額は約250億円。株価指標的には割高感はまったくない。イトクロは配当金がゼロで、自己資本比率は90%を超えている。日本国内の学習塾・予備校の市場規模は9,500億円前後で推移している。言い換えると、市場自体は伸びていない。イトクロの成長の後押しになったのは、折込チラシからインターネット広告への転換。2008年頃からインターネット広告が伸び、折込チラシは大きく市場規模が減少してきた。

 最近ではインターネット広告が一般化され、市場規模が伸びないなかでイトクロの成長が自然体で伸びるとは思えない。株価躍進のためには、学習塾・予備校などの教育分野から、あたらしい分野へのチャレンジが必要かもしれない。ただし、チャート的には底値圏を推移しているようにも見えるため、ここから更なる下落は考えずらい。なんらかのテーマ株として注目されたときには、大きく株価は上昇する可能性あるが、せいぜい2倍くらいが限界かもしれない。

(画像1)イトクロの株価推移

以 上

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