中古車オークション(オートオークション)を全国19会場で展開しているUSS(ユー・エス・エス)。2020年3月期の売上高は781億円、営業利益は360億円、営業利益率はなんと46.1%と圧倒的な収益力をほこる中古自動車オークション企業。一般消費者にはなじみのない企業であるものの、中古車業界ではバツグンの存在感をもつ。時価総額は5,000億円を超えている。今後の株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2020年6月19日時点)
- 株価:1,788円
- 時価総額:5,601億円
- 予想PER:-(未定)
- PBR:2.45倍
- 予想配当利回り:-(未定)
- 自己資本比率:83.0%
■USSのビジネスモデルは?オークションとは?
USSの2020年3月期の売上高は781億円(前年比△2.2%)、営業利益360億円(前年比△3.0%)と減収減益となった。株価上昇の前提としては、成長力と収益性が求められており、USSは収益性の面では問題ない。2020年2月~3月は新型コロナウイルスの影響があったものの、ここにきて売上高、営業利益ともに前年割れとなってしまった。
USSは売上高の約8割、営業利益の約98%を中古車オークションで稼いでいる。2020年3月期の一年間で中古車オークションを合計878回(各会場で年間50回ほど)開催。これらの中古車オークションにて、合計で出品台数292万台、成約台数177万台、成約車両金額は1.2兆円の取引がおこなわれている。USSはこの中古車オークションにより、出品手数料(売上高:150億円)、成約手数料(同:145億円)、落札手数料(218億円)を稼ぐ。
USSは中古車オークションだけでなく、中古車買取店「ラビット」も展開する。全国で152店舗を展開。しかしながら、中古車の買取販売は売上高90億円ほどあるものの、営業利益は1億円ほど。あくまでUSSは中古車オークションを主催する会社と考えて問題ない。
■USSの今後の展開は?
USSの中古車オークション事業は安定している。営業利益率は55%を超えており、中古車自動車の市場がなくなることもない。しかし、リーマンショックのあった2008年頃から中古車の市場の伸びは低下。USSは新規事業に参入というよりも、株主還元(連結配当性向は50%)に力をいれていて、今後の成長ストーリーが見えないという課題がのこる。
USSの決算説明資料をみても、今後の新たな成長ストーリーは語られず、現在の高収益と市場シェア改善(2000年:21.8%→2019年:39.0%)が記載されている。やはり心配されるのは、競合他社の参入だ。中古車オークションはすでにビジネスモデルが固まっているものの、より低価格で中古車を仲介するIT企業などがでてくるとUSSの優位性がさがる。中古車台数が今後、大きく増加することは起こりにくく、USSの業績拡大がつづくことを期待するのもむずかしい。
■USS(ユー・エス・エス)の株価推移は?
USSの株価はボックス圏から抜けられない。2015年5月に2,579円の最高値をつけてから、2018年にその高値を抜けられず現在にいたる。USSの株価チャートをみると、ここから再度上昇というよりも、むしろ横ばいから下げトレンドにはいってきそうな株価チャートになっている。USSの収益力の高さは株価に織り込まれ、成長が低迷すると右肩さがりのトレンドになる可能性があるので注意が必要だ。
以 上