飲食店の送客サイト「ぐるなび」を運営している、ぐるなび。2020年3月から感染拡大したコロナで飲食店が大きな打撃を受け、レストラン予約サイトであり、飲食店に顧客を送客するサービスする、ぐるなび、Retty、食べログ、ホットペッパーグルメなども大きく業績が落ち込んでいる。コロナ感染は残るものの、外食もコロナ前の水準に戻ったものの、ぐるなびの業績はコロナ前のようには戻っていない。今後の業績と株価の行方は?
コロナ禍で苦戦中ぐるなび、つづく営業損失はいつまで?(2021年8月9日投稿)
飲食店予約サイト運営のRetty、コロナ禍で苦戦も4.7億円の積極投資!(2022年4月24日投稿)
■基本情報(2023年10月6日時点)
- 株価:298円(10年来高値:3,165円)
- 時価総額:170億円
- 予想PER:赤字
- PBR:3.46倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:61.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:20,831人(2023年3月31日時点)
■ぐるなびの業績は?
ぐるなびの2024年3月期の第一四半期の売上高は25.9億円(前年比△12.4%減)、営業利益△67百万円(前年同期は△10.3億円)と減収赤字幅の縮小となった。ぐるなびの売上総利益率は+67.1%(前年同期は+55.4%)と改善している。
ぐるなびの売上総利益は前年の16.4億円→17.4億円と+1.0億円の増加、販管費は前年の26.6億円→18.0億円と△8.6億円の減少となり、営業利益は△10.3億円→△0.7億円と+9.6億円の改善となった。販管費の減少が大きい。
ぐるなびの販管費の内訳をみると、人件費は△4.5億円減、賃借料△1.0億円減、業務委託費△1.0億円減など。おそらく、従来の外回りの営業人員を削減していると思われる。ぐるなびの従業員数は799人、平均年齢は42.7歳、平均年収は547万円。
それほど若い組織ではないものの、過去1年間で432名も退職や他社への出向をしており、ほぼ3分の2の人員規模になっている。それだけ、事業環境がきびしいと言えるだろう。なお、コロナ前は従業員数は約1,500人くらいだった。
■ぐるなびの強みは?
ぐるなびは、「食べログ」「ホットペッパーグルメ」「Retty」などの飲食店送客サイトと競合している。正直、現在の市場規模に対してプレーヤーが多すぎるという状況だ。いわゆる、成熟市場、もしくは衰退市場で過当競争をしている状態だ。
ぐるなびの強みとしては、楽天グループとの資本提携による楽天との結びつきが強い点だ。2021年8月に楽天グループ、SHIFTと資本業務提携を実施し、第三者割当増資により約33億円を調達。2023年1月にはAI・Iot関連サービスのオプティムと資本業務提携により3億円を調達している。
■ぐるなびの事業状況は?
ぐるなびは2021年9月から新加盟プランを提供開始。月額0円のスタートプラン、月額1.0万円のライトプラン、月額3.0万円のベーシックプランを用意している。しかしながら、有料加盟店舗数は右肩さがりになっており、総有料加盟店数は4.3万店舗(前年同期末比で△1.3万店舗の減少)。
飲食・居酒屋などの業績はコロナ前まで戻っているものの、ぐるなび離れ、送客サイト離れが起こっていると言えるだろう。おそらく、ユーザーの飲食店の需要は戻っているものの、飲食店、居酒屋の店舗が送客手数料や月額料金を支払ってまで、ぐるなびと契約する必要がないと今は判断している。コロナ禍で赤字を膨らませ、その赤字を補填するために削れる経費を削るという状況だ。
■ぐるなびの財務状況は?
ぐるなびの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は69億円。負債をみると、有利子負債は長期借入金が22億円、未払金10億円となっている。財務的には健全だ。
■ぐるなびの株価推移は?
ぐるなびの時価総額は約170億円。ぐるなびの株価は上場来最安値水準となっている。業績が右肩さがりで赤字のため、適正な株価が見いだせない。そもそも、飲食・居酒屋の送客サービスが過当競争で、どこか新しいサービスを提供する企業がでると、一気に市場シェアを持っていかれる可能性もある。
しかしながら、飲食店が経費をかけるのに前向きになったときには、ぐるなび含め、競合他社も業績が回復するだろう。いまは飲食店が借入金まみれで経費削減が第一だ。ぐるなびは楽天グループが株式所有率15.7%で筆頭株主。もし、市場が明るくなってきたら、楽天グループによるTOBや持ち株比率の引き上げなどもあるかもしれない。
以 上