売上高前年割れのベースフード、値上げで売上高はそれほど伸びず?

 完全栄養食のパンである「BASE FOOD」を製造・販売しているベースフード。2023年10月に「BASE BREAD シナモン」などの一部製品にカビが発生したカビ混入問題により売上高は減少。ファブレスメーカーの課題が浮き彫りになった。ベースフードの業績と株価の行方は?

成長率は50%超も収益性が課題のベースフード、黒字化が大きな課題!(2024年4月20日投稿)

四半期利益が黒字化、フードテックのベースフードの成長シナリオ継続!(2023年11月15日投稿)

■基本情報(2024年8月9日時点)

  • 株価:224円(10年来高値:824円)
  • 時価総額:120億円
  • 予想PER:97.8倍
  • PBR:25.8倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:10.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:14,608人(2024年2月29日時点)
  • 事業価値:113億円

■ベースフードの業績は?

 ベースフードの2025年2月期の第一四半期の売上高は36.6億円(前年比△2.0%減)、営業利益△4.4億円(前年同期は△3.8億円)の減収赤字幅増となった。ベースフードの売上総利益率は+52.4%(前年は+49.2%)と50%を超えている。

 ベースフードは2023年5月から約8%~15%の値上げ(価格改定)を実施している。その結果、売上総利益率は+3%ほど改善している。円安による原材料費の高騰などに対して値上げを反映しているものの、そもそも価格帯が高い商品であり、どこまで顧客が追随できるかが大きな課題だ。

 また、2024年8月5日より再度、価格改定を実施。約11%ほど商品が値上がりしている。パン1つが約250円~300円くらいになっており、通常の食パンや菓子パンなどと比べると、2倍ほどの価格になっている。健康志向が高まっているものの、ユーザーがどこまでついてこれるか。

■ベースフードの事業状況は?

 ベースフードの販売チャネル別の状況をみると、前四半期とくらべると堅調なように見えるものの、前年比でみると、前年レベルには回復していない。自社ECは大量の広告費(約10億円)を投入しているため伸びているものの、卸売(コンビニなど)、他社ECなどは前年を下回っている。

 自社ECの平均購買単価は5,100円→5,300円に増加。いっぽう、卸売りはコンビニチェーン店がメインであるものの、1店舗あたりの月間売上高は6,950円(前年:8,800円)と前年未達がつづいている。すでにコンビニは5.5万店舗で販売しており、ドラッグストアでは2.2万店舗販売している。正直、ここからの拡大は難しいだろう。

■ベースフードの給与水準は?

 ベースフードは給与水準が高いことで有名だ。2024年2月の有価証券報告書をみると、従業員数は128名、平均年齢36.2歳、平均勤続年数1.8年、平均年収916万円となっている。2023年2月の有価証券報告書では、平均年収866万円だったため、年収は約5.8%改定されている。

 正直、赤字で自己資本もほとんどない現状で高すぎる給与水準は気になるところ。2024年8月の値上げにより販売状況がどうなるかわからず、もしかすると、更なる業績の落ち込みも起こりうるかもしれない。

■ベースフードの株価推移は?

 ベースフードの時価総額は約120億円。正直、現在の業績をみると、時価総額にまったくあっていない株価となっている。消費者向けの商品を販売しており、大量の広告費を投入した結果、知名度だけは高くなって、安易に株を購入する個人投資家が多いことが要因だ。その結果、株主数は1.4万人まで増えている。

 株価を上昇させる切り札は株主優待の導入だ。自社製品を期待する個人投資家は少なくないだろうから、一時的には株価の上昇の切り札になる。個人投資家で有名な弐億氏もベースフード株を投資しており、現在は大きな含み損で苦しんでいることが予想される(弐億氏は2億円以上の資産があるので、まったく痛くもないだろうが)。

以 上

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