IT技術者派遣のセラク(6199)、テレワークの追い風も!

 自社で採用し教育したIT人材を顧客企業に派遣するビジネスを中心に展開しているセラク。静(SEI)、楽(RAKU)という単語からつけられた「セラク」という社名。2015年8月には売上高53.4億円だったものの、2019年8月には売上高114.1億円と倍増。その成長はさらに加速し、2020年8月期は売上高140億円(前年比+22.7%)と急成長を計画している。1987年設立の古いIT企業であるものの、ここ数年で目を見張る急成長を見せている。

■基本情報(2020年7月22日時点)

  • 株価:1,385円
  • 時価総額:191億円
  • 予想PER:40.5倍
  • PBR:5.92倍
  • 予想配当利回り:0.24%
  • 自己資本比率:44.7%
  • 会計基準:日本基準

■セラクの事業内容は?

 セラクの事業内容はわかりにくい。自社で新卒社員を採用し、情報技術(IT)の教育を実施して顧客企業に派遣するビジネスを基本として行っている。2020年4月の新卒入社は200名以上と、連結ベースでの従業員数が2,500名前後の会社としては採用人数が多いのが特徴だ。決算説明資料によると、ITインフラ関連の保守に関する業務が多く、最近ではテレワークの関係でサイバーセキュリティ関連の引き合いも多いという。

 セラクはシステムインテグレーション(SI)とデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するIT技術者の派遣をベースにしているものの、最近では農業IoT分野である「みどりクラウド」という農業支援のサービスにも力を入れている。農業生産性の向上につながる情報をアプリで確認でき、データを介して農業の生産性を向上できるサービスを展開している。

■セラクの業績は?

 セラクの2020年8月期の第三四半期の売上高は101億円(前年同期比+22.1%)、営業利益は7.4億円(前年同期比+71.5%)と大幅な増収増益。業績を引っ張っているのはシステムインテグレーション事業(SI事業)だ。農業IoTやDXというと目を引くビジネスではあるものの、セラクの基本は業務システムなどの技術サポートがメイン。セラクは着実に自社採用の技術者を増やし、ストックとして稼ぐビジネスモデルを成長させている。

(画像2)セラクのセグメント別業績(決算短信より)

 セラクの技術者数は2020年5月末時点で2,271名、稼働率は98.6%と高い稼働率をみせている。ただ、心配されるのは高い稼働率をいつまで維持できるかという点だ。各企業のIT部門も生産性の向上を図っていくため、人員に余剰感がでてきた場合、削減されるのは技術派遣者からだ。セラクは年間350名ほどの増加を計画しており、積極的な攻めの経営に入っている。いまは需要が高いものの、需要が急減したときには重い固定費負担になることを忘れてはならない。

■セラクの株価推移は?

 セラクは上場時につけた1,710円の株価を超えられず現在にいたる。上場時に高い期待をもたれたものの、その当時は業績と企業価値に大きな乖離があり、一気に半値以下まで下落。そこから4年ほどは低迷していたものの、ここ数年の前年比+20%を超える売上高の増と、営業利益の大幅な改善により業績と企業価値ともに上昇しているのが現在のセラクの姿。いまの予想PER40倍は、セラクの成長スピードを考えると妥当な範囲。時価総額190億円前後であれば、割高感はそれほどない。ここからしっかり期待を上回る業績を出せるかが勝負になる。

(画像4)セラクの株価推移、上昇トレンド入りなるか?

以 上

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