顧客のデジタル化の戦略策定、体制の構築などをコンサルティングするモンスターラボホールディングス(以下、モンスターラボ)。2023年3月に上場してから業績は一向に上向かず、苦戦しているモンスターラボ。決算説明資料を読んでも、何が起こっているかまったくわからない。「非稼働人員が大きい」とあるが、受注残高に見合った採用をしていれば赤字になることも基本的にないビジネスモデルではないのか?
業績予想悪化のモンスターラボホールディングス、納得度の低い修正理由?(2024年2月18日投稿)
■基本情報(2024年8月15日時点)
- 株価:149円(10年来高値:1,145円)
- 時価総額:51億円
- 予想PER:34倍
- PBR:-(債務超過)
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:マイナス(債務超過)
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:6,565人(2023年12月31日時点)
- 事業価値:123億円
■モンスターラボの業績は?
モンスターラボの2024年12月期の第二四半期の売上高は57.2億円(前年比△15.4%減)、営業利益△69.9億円(前年同期は△4.7億円の赤字)と減収巨額赤字となった。モンスターラボの売上総利益率は+9.6%(前年は+28.3%)と大幅悪化。とにかく、従業員数と受注残高がまったくマッチしていないと思われる。
モンスターラボの売上総利益は前年の19.1億円→5.5億円と△13.6億円の減少、販管費は前年の31.6億円→34.1億円と+2.5億円の増加となり、またその他の費用増などで営業損失は△69.9億円と巨額の赤字となった。
■何が起こっているのか?
2023年下期から赤字拠点や非稼働人員の増加により、業績が悪化。今回、ドイツと中国・上海の子会社2社の解散を決定した。しかも、ここまで業績悪化し解散するものの、退職金などで一時費用7.7億円の計上を発表している。
身の丈に合わないグローバルでの買収を進めた結果、巨額の「のれん」減損を計上し、危機的な状況に陥っている。
モンスターラボは一時的な減損などの計上だけでなく、売上総利益をみると危機的な状況がわかる。第一四半期と第二四半期の売上総利益をくらべると、第二四半期の売上総利益のほうが小さい。つまり、粗利が赤字の受注をしており、利益がまったくでない状況である点だ。デジタル、コンサル、ITなど需要が旺盛な事業領域で、ここまで顧客から高単価の受注ができない事業はきびしいだろう。
■減収と巨額赤字の計上
これから再成長させていくとモンスターラボは言っているものの、借入金が80億円以上ある。2024年6月に山陽合同銀行から25億円の借入枠を設定しているものの、少なくとも金利は1%以上であることは間違いないだろう(担保設定あり)。昨年の有価証券報告書をみると、短期借入金の平均利率は1.2%、長期借入金は平均1.88%となっている。社債も無担保で約3.5億円を発行しており、りそな銀行と山陽合同銀行の2行。
業績も赤字で悪く、社員の平均年収は784万円と高い。販管費も上昇が続いており、めちゃくちゃな経営としていると見られても仕方がないだろう。なお、役員報酬は4名で1.2億円のため、1人あたり平均3,000万円くらいとなっている。
■モンスターラボの株価推移は?
モンスターラボの時価総額は約50億円。借入金が80億円以上もあるため、どこかに救済してもらうとしても、銀行の債権放棄は必須だろう。ここまで株価が下がると、増資にも限界がある。りそな銀行、山陽合同銀行は上場前から出資もしており、株主責任としての銀行貸し出しをせざる得なかったのだろう。
ここから挽回するには、従業員は10分の1くらいまで絞る必要がありそうだ。このままだと固定費の支出が多く、会社のキャッシュが持たない。