国内宅配事業のOisix(オイシックス)、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの3つの事業を中心に事業をおこなっているオイシックス・ラ・大地(以下、オイシックス)。2021年3月期の業績は売上高1,000億円(前年比+40.9%増)、営業利益75億円(前年比+202.6%増)で前年を大きく超過。同社自身もコロナ禍による一時的な特需で実力値はもっと低いと決算資料で補足している。オイシックスの業績と株価の行方はどうなるのか?
オイシックス・ラ・大地(3182)、成長する食品宅配会社!(2020年5月23日投稿)
■基本情報(2021年7月2日時点)
- 株価:4,260円(10年来高値:4,305円)
- 時価総額:1,619億円
- 予想PER:51.8倍
- PBR:8.15倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:49.9%
- 会計基準:日本基準
■オイシックスの業績は?
オイシックスの2021年3月期の売上高は1,000億円(前年比+40.9%増)、営業利益74.7億円(前年比+202.6%増)の大幅な増収増益となった。オイシックスの売上総利益率は+50.6%(前年は+47.6%)、営業利益率は+7.5%(前年は+3.5%)。オイシックスは売上総利益率が高いものの、販管費の割合が高く、営業利益は10%に到達していない。食品宅配事業は、それほど利益率の高い商売ではない。
オイシックスの販管費432億円の内訳をみると、販促費60億円、荷造発送費105億円、外注費56億円、人件費40億円が大口だ。販促費には広告宣伝費など含まれる。宅配事業を行っているため、売上高の増加とともに荷造発送費と外注費が増えるビジネスモデルとなっている。荷造発送費は売上高の約10%を占めており、大きな削減はむずかしい。また、オイシックスの従業員数は2021年3月末時点で1,731名。サービスや新製品の開発などで人手がかかるビジネスとなっている。
■オイシックスのビジネス状況は?
オイシックスは国内宅配3ブランド(オイシックス、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや)の合計会員数は30.9万人。前年は28.5万人だったので、約2万人ほど会員数が増えている。特に主力である「Kit Oisixコース」の会員数は22.2万人と前年の19.8万人から大きく増えている。
大地を守る会の会員数は4.5万人。新型コロナウイルスの影響により、右肩下がりのトレンドから大きく反発している。らでぃっしゅぼーやも同様に、新型コロナウイルスの影響により右肩下がりのトレンドから大きく反発して会員数は6.3万人(コロナ前は5.6万人まで減少していた)。
■オイシックスが注目される理由は?
オイシックスが注目され株価が上昇している背景は、サブスクリプション型のビジネスである点だ。売切りの商売ではなく、固定客を積み上げていくスタイルのため安定した成長に期待が集まっている。もちろん、新型コロナウイルスの影響により業績が急成長していることも一因だ。
■オイシックスの株価の行方は?
オイシックスの時価総額は約1,600億円。2020年3月期のコロナショック時には株価は1,000円くらいまで下落したものの、現在は4,000円を超える水準。株価は4倍以上まで上昇している。コロナ前の最高値2,400円とくらべても大きく株価をあげている。
たしかにオイシックス3ブランドの会員数は合計で30万件ほど。まだまだ成長余地はありそうだ。いっぽうで気になるのは収益性の低さ。店舗をもたない宅配事業であるものの、食品の宅配のため頻繁な郵送が必要で荷造発送費の負担が重い。クラウドIT企業と異なり、売上規模の拡大で爆発的に利益が増えていくわけではないので注意が必要だ。
いまは予想PER50倍を超えているものの、成長鈍化が見えたときには20倍~30倍くらいに収れんしてくるのではないだろうか。高値掴みには注意が必要だ。
以 上