電子印鑑の「GMOサイン」や認証機関のGlobalSign、シングルサインオンのGMOトラスト・ログインなど本人確認やセキュリティ関連の幅広いサービスを展開しているGMOグローバルサイン・ホールディングス(以下、GMOグローバルサイン)。Zホールディングス、ヤフー、キリン、大和証券、神戸物産など大手企業の導入も目立つ。GMOグローバルサインの今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年4月28日時点)
- 株価:3,835円(10年来高値:14,210円)
- 時価総額:454億円
- 予想PER:50.5倍
- PBR:5.64倍
- 予想配当利回り:0.98%
- 自己資本比率:54.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:7,898人(2022年12月31日時点)
■GMOグローバルサインの業績は?
GMOグローバルサインの2022年12月期の売上高は160億円(前年比+13.6%増)、営業利益11.4億円(前年比△2.6%減)の増収減益。GMOグローバルサインの売上総利益率は+60.7%(前年は+60.1%)、営業利益率は+7.1%(前年は+8.3%)と営業利益率は悪化している。
GMOグローバルサインの売上総利益は前年84.4億円→96.8億円と+12.4億円の増加。いっぽう、販管費は前年72.7億円→85.4億円と+12.7億円の増加となり、差し引きで△0.3億円の減益となった。GMOグローバルサインによると、先行投資による要因と説明しているものの、販管費増の具体的な説明は十分されていない。
■GMOグローバルサインの事業内容は?
GMOグローバルサインは、マイナンバーカードの浸透、DX化の推進、法規制のデジタル化など未来に起こりうる環境変化に対して、デジタル技術でサービスをおこなっている。
具体的には、電子印鑑による電子契約の推進で「GMOサイン」を推進している。電子契約であれば印紙税が不要になり、紙の書面を保存する必要がなくなる。弁護士ドットコムのクラウドサインやDocuSignなどが競合だ。GMOグローバルサインは自社で電子の認証局を運営しており、インターネット上の身元証明機関に該当する。
日本最大級の法律相談ポータルサイト運営の弁護士ドットコム、販管費の増加が負担!(2022年10月30日投稿)
また、シングルサインオンとして、GMOトラスト・ログインを運営している。競合他社としては、HENNGE(へんげ)の「HENNGE ONE」などが競合にあたる。
成長つづくも利益でないHENNGE、シングルサインオンは広がるか?(2023年2月23日投稿)
クラウド支援として、アマゾンのAWS総合支援やGoogle Cloudなどの支援をしている。テラスカイ、サーバーワークス、BeeXなどが競合にあたる。
■モバイル商品券の普及
また、GMOおみせアプリとして、モバイル商品券プラットフォームを運営している。マイナンバーカードと連携させ、全国の自治体への横展開を目指す。ただ、ライバルとしてはPayPayなどの地域限定の割引やギフティの地域振興券(地域通貨サービス)などがライバルに該当するだろう。
「eギフトプラットフォーム」のギフティ、地域通貨サービス特需消える!(2022年2月26日投稿)
■財務状況は?
GMOグローバルサインの2022年12月末時点の財務状況をみると、現預金は67億円、ソフトウェアは27億円となっている。いっぽう、有利子負債は18億円とそれほど大きくない。また、契約負債(前受金)が22.8億円計上されており、先払いでサービス代金を受け取る流れになっており、キャッシュフローは万全だ。
GMOグローバルサインのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+16.8億円、投資CFは△11.4億円と無形固定資産の支出が大きい。財務CFは短期・長期の借入金を増やしたため+7.6億円のプラスとなっている。差引で現預金は+3.3億円の増加となっている。
■GMOグローバルサインの株価推移は?
GMOグローバルサインの時価総額は約450億円。競合のサイバートラストの時価総額が約200億円であることを考えると、割高感はある。一時は時価総額1,000億円を超えており、高値で株を掴んだ投資家も少なくないだろう。将来的なビジネス領域の成長は見込まれるため、いまだに期待感が株価に含まれていると考えるのが妥当だろう。
オンライン本人確認(iTrust)のサイバートラスト、マイナンバー普及でビジネスチャンス増!(2023年5月1日投稿)
なお、GMOインターネットが51.0%の筆頭株主であり、GMOグループの連結子会社である。従業員数は974名、平均年齢は39.2歳、平均年収は576万円と給与水準がIT企業としては、高くないのが気になる。
以 上