月額課金のサブスクリプション型でレンタル衣料サービスを提供しているエアークローゼット(エアクロ)。2024年6月以降は「「Disney FASHION CLOSET」という都度課金(フロー型)のサービスを展開予定で、自社のサブスクリプション型を自己否定する施策を発表。エアークローゼットの業績挽回なるか?
シェアリングエコノミーの「airCloset」、エアークローゼットの業績の行方は?挽回の可能性は?(2023年8月14日投稿)
レディース向け月額ファッションレンタル「airCloset」のエアークローゼット、業績下方修正!(2023年5月20日投稿)
■基本情報(2023年11月24日時点)
- 株価:400円(10年来高値:1,250円)
- 時価総額:33億円
- 予想PER:ー
- PBR:5.84倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:21.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,000人(2023年6月30日時点)
■エアークローゼットの業績は?
エアークローゼットの2024年6月期の第一四半期の売上高は9.5億円(前年比+12.1%増)、営業利益7百万円(前年同期は△29百万円の赤字)と増収黒字転換となった。エアークローゼットの売上総利益率は+49.1%(前年は+50.0%)と若干悪化している。
エアークローゼットの売上総利益は前年の4.2億円→4.7億円と+0.5億円の改善、販管費は4.5億円→4.6億円と+0.1億円となり、差し引きで+0.4億円の営業利益改善となった。エアークローゼットの決算説明資料を読むと、月額会員数の増加、airCloset Mall事業の拡大で増加となっている。
■airCloset Mallとは?
エアークローゼットは「airCloset Mall」というレンタル品の買取サービスを提供している。試して気に入ったレンタル品については、最大10か月分のレンタル料金を差し引くことで新品を購入できるサービスだ。
簡単に言うと、サブスクリプションの月額会員を長く続けているほうが購入価格からの値引きを大きくすることで、月額会員を長く続けてもらう施策だ。
■会員数の推移は?
エアークローゼットの会員推移は前年1Qの30,497人→33,437人と+9.6%と大きく増えている。前年4Qの34,546人からは1,000人ほど減少しているものの、季節性の変動と理由付けできるかウォッチが必要だ。
エアークローゼットの販管費をみると、広告宣伝費を前年の1.7億円→1.5億円と△0.2億円下げている。これが黒字化に貢献した理由のひとつ。
■会計とキャッシュをよく見る必要あり
エアークローゼットはレンタル資産をタイミングをみて減損している。今回の決算は減損損失の計上がゼロだった。会計的には過去の減損による固定資産の償却費減少が今期の限界利益改善につながっているものの、将来的には償却費が増えて会計上の利益が減ることに留意が必要だ。
エアークローゼットは有形固定資産であるレンタル衣服を常に購入する必要がある。実態の業績をみようと思うと、営業CF+投資CFを合わせたフリーキャッシュフローの推移を見るのが重要だ。上場前からフリーキャッシュフローは常に赤字となっており、現預金が減っていくことに注意が必要だ。
■エアークローゼットの株価推移は?
エアークローゼットの時価総額は約33億円。事業内容的に業績が一気に伸びている事業モデルではないだろう。競合他社として、メルカリ運営のメチャカリ、アナザーアドレス、EDIST、Brista、Rcawaiiなどがある。価格帯はほぼ拮抗しており、差別化できる要素がない。
すでに時価総額が小さいので、ときどき株価は急騰することもあるだろうが、時価総額100億円、200億円に成長する可能性はかなり低いのではないだろうか。
以 上