海外のパーソナルショッパーを活用したECプラットフォーム「BUYMA」を運営しているエニグモ。「BUYMA」のアクティブ会員数は約100万人(2022年は137万人)と大きく減少している。総取扱高も下落中。また、「BUYMA TRAVEL」という海外現地のプライベートガイドに仲介するビジネスも開始し、予約金額は14百万円(前期)→38百万円まで増加。今後のエニグモのビジネスの行方は?
苦戦つづく「BUYMA(バイマ)」のエニグモ、インフレと円安が売買の障壁か?(2023年12月24日投稿)
成長停滞のエニグモの「BUYMA(バイマ)」、再成長の可能性は?(2023年9月2日投稿)
■基本情報(2024年6月14日時点)
- 株価:340円(10年来高値:1,823円)
- 時価総額:145億円
- 予想PER:14.9倍
- PBR:1.28倍
- 予想配当利回り:2.94%
- 自己資本比率:80.5%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:8,794人(2024年1月31日時点)
- 事業価値:43億円
■エニグモの業績は?
エニグモの2025年1月期の第一四半期の売上高は13.2億円(前年比△16.8%減)、営業利益1.5億円(前年比△36.9%減)の減収減益。エニグモの売上総利益率は+78.5%(前年は+77.2%)、営業利益率は+10.9%(前年は+14.5%)と粗利は改善したものの、規模感の縮小にて営業利益率は悪化。
エニグモの売上総利益は前年の12.3億円→10.4億円と△1.9億円の悪化、販管費は前年の10.0億円→8.9億円と△1.1億円の改善となり、営業利益率は0.7億円の悪化にとどまった。規模縮小のなか販管費を削減したことが営業利益の減少率を鈍化させることができた。
エニグモの従業員数は前年の115名→129名と+14名増。平均年齢は36歳、平均年収は710万円(前年は710万円)と前年から変わらず。業績の成長がないため、賞与などで調整しているのか、賃上げムードのなかでも平均年収は変わらず。
■エニグモの事業状況は?
エニグモの決算説明会資料をみると、「BUYMA TRAVEL」に力をいれようとしていることがわかる。旅行者と海外現地のアクティビティ主催会社をつなげる「MEGURU」に出資し、旅ナカ(旅行中の旅先での期間をさす)にサービスを提供するもの。旅行会社のベルトラとほぼ同じ事業内容と言えるだろう。
2024年8月からはMEGURUは「BUYMA TRAVEL」に社名変更する。現在のベルトラの事業規模は売上高55億円、営業利益3.5億円の業績予想。時価総額は160億円。ベルトラにしろ、「BUYMA TRAVEL」にしろ、現在の円安が修正された場合は、日本人の海外旅行には大きくプラスに作用するだろう。なお、現在の「BUYMA TRAVEL」の年間売上高は約6億円規模と想定される。エニグモは約1.5~2.0億円くらいでMEGURUの持分を取得していると予想する。
■新規事業領域は?
エニグモは不動産事業にも参入を決定している。不動産売買プラットフォームを運営する「Non Brokers」の株式を買収。
エニグモの2027年1月期の目標は売上高100億円、営業利益25~30億円を目指す。旅行、不動産などの新規領域が好走し、円高に振れれば十分達成可能な目標だろう。
■エニグモの株価推移は?
エニグモの時価総額は約150億円。円安の影響で「BUYMA」が低調になっている影響を直撃している。言い換えると、株価が下がっている理由が明確なので、為替レート次第では業績と株価が一気に改善する可能性が高い。欧米と日本の物価や為替レートによる購買力平価を考えると、いずれは為替レートが修正されてもおかしくないだろう。
以 上