順調に成長するラクス、SaaS型ビジネスで将来の収益最大化を狙う!

 「楽楽精算」「楽楽明細」などの経費関連のSaaS型クラウドサービスを提供しているラクス。順調にストック型売上高を積み上げており、将来的な業績は安心だ。足元は広告宣伝費を積極的に投下して規模拡大を図り、安定収益の確保を優先する戦略。株価は一時から半値以下まで下落しているものの、それでも時価総額は約3,000億円あり、事業規模より大きな評価を得ている。

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成長つづくラクス、年平均成長率25%以上の中期経営計画を発表!(2021年5月15日投稿)

■基本情報(2022年9月9日時点)

  • 株価:1,610円(10年来高値:4,775円)
  • 時価総額:2,918億円
  • 予想PER:529.6倍
  • PBR:34.4倍
  • 予想配当利回り:0.12%
  • 自己資本比率:72.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:10,958人(2022年3月31日時点)

■ラクスの業績は?

 ラクスの2023年3月期の第一四半期の売上高は61.7億円(前年同期比+33.7%増)、営業利益2.9億円(前年同期は+5.2億円)の増収減益。ただ、ラクスの営業利益は広告宣伝費でコントロールしているため、マイナス的な要素(意味合い)はない。

 ラクスの売上総利益率は+68.1%(前年は+68.7%)、営業利益率は+4.6%(前年は+11.3%)。ラクスの売上総利益は42億円と前年の31.7億円から約9億円の増加となったものの、販売管理費が39.1億円と前年の26.5億円から13億円ほど増加したことにより営業利益はマイナスとなった。主に広告宣伝費を14.6億円(前年同期は8.0億円)と約7.6億円増加させており、前年並みの広告費であれば営業利益は約10億円くらい出すことが可能だった。

■ラクスの戦略は?

 ラクスの事業モデルはSaaS型のITサービス事業。ストック型売上が大部分を占める。顧客のサービス継続率が高いため、電気・ガスなどのストック収益と同じ考えで、いかに顧客を増やすかが重要と考えている。言い換えると、いったん顧客を捕まえると、高い粗利率で収益がずっと入ってくるビジネスモデルと言える。

 ラクスは積極的に広告宣伝費と営業人材に投資をして、顧客の増に努めている。当面は営業利益にこだわらず、売上高の増加をKPI(重要な成功指標)として動いている。2年くらい前までは広告宣伝費は第一四半期で約2億円前後だったもののを、去年は8億円、今年(今回)は14億円投入している。

 ラクスのストック売上高比率は全体の92.2%と高く、この利益構造がラクスの高収益と高成長を支えている。

■何が伸びているか?

 ラクスの製品(サービス)のなかで何が伸びているか?「楽楽精算」は前年同期比+38.4%、「楽楽明細」は前年同期比+73.3%、「楽楽販売」は前年同期比+42.8%と楽楽シリーズが業績を引っ張っている。いっぽう、メールディーラーは前年同期比+12.2%と伸びているものの、ほかの製品とくらべると見劣りしてしまう。

 ラクスの前年同期比の成長率は+33.7%。年間売上高200億円規模のITサービス企業が安定して前年比+30%超の成長を続けることはめずらしい。これがラクスの株価が買われている理由のひとつ。

■ラクスの株価は?

 ラクスの時価総額は約3,000億円。一時は時価総額8,000億円くらいまで上昇したものの、世界的なグロース銘柄の株価調整で下落。ラクス個別の要因は少ない。今期の業績予想は未公表であるものの、売上高260億円、営業利益10~20億円くらいではないだろうか?実力的には売上高260億円、営業利益40~60億円くらいではないだろうか。成長性を加味して予想PER40倍で考えると、時価総額1,200~2,000億円くらいが妥当な企業価値ではないだろうか?

 同じような事業モデルのSansan、freee、マネーフォワードも株価が下落しており、ITクラウドサービスの高株価がいつまで続くか見えない。株価の市況次第では、いまの株価から大きく落ちる可能性があることに留意が必要だ。

(画像1)ラクスの株価推移、大きな山は形成済み、今後は?

以 上

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